愛されない子供たち

 愛を示されない子供達


必要とされ愛される権利を否定された子どもたちは,苦々しい気持ちを抱き,
自分を無視した人々に,あるいは社会全般にいらだちをぶつけるかもしれません。
10年以上前に,カナダのある特別調査団に
よる報告は,「社会は気遣ってくれないと考える」世代全体が自暴自棄にな
ってしまわないよう直ちに行動を起こす必要がある,と警告しました。

愛されず,必要とされない若者は,問題から逃れるために家から逃げ出す
気になるかもしれません。

 しかし,犯罪や麻薬や不道徳のはびこる都市で,結局さらに大きな問題
に直面します。警察の推定によると,20年以上前にすでに,アメリカの
ある首都圏だけでも16歳未満の家出少年が2万人いました。
それらの子どもたちは,「家庭の崩壊や,アルコール中毒か麻薬中毒の
親が加えることの多い残忍な仕打ちの産物」と描写されました。「彼らは
街路に立ち,生きてゆくために体を売る。そして,客引きにだまされ,
自尊心を失い,いかがわしい組織から逃れたとしても報復を恐れて暮らす」。
このような悲惨な状況は,誠実な変革の努力が払われてきたにもかかわらず
,残念ながら,いまだに見られます。

 そのような環境で成長する子どもたちは,平衡の欠けた大人になり,
多くの場合,自分の子どもを適切に育てることができません。自分自身が
必要とされず,愛されなかったため,後に自分と同じような子ども―必要
とされず愛されていない,と感じる子ども―を生み出すのです。ドイツの
ある政治家はそのことを簡潔に,「愛を知らない子どもは, 憎しみに満
ちた大人になる」と述べました。

子どもは,父親と母親の双方の愛を必要としており,愛されるに値するのです。
 愛を示されないなら、心の傷が残り後々の人生に悲惨な影響を与えます。